しゃれこうべと子供の名前
マンガが好きで、男性向け・女性向けを問わず、わりに色々読んでる方だとは思うが、外国ものにまで手を出すことは殆どない。が、少し前、アメリカのあるマンガの1巻をオーストラリア人の友人に貰ったのだが、これが面白かった。それで、珍しく2巻以降も買い始めた。オールカラーで高いので(約$13.00もする)ぼちぼちではあるが。
このマンガのタイトルは、"Y: The Last Man"という。
これは、突然地球上のY染色体を持つ全哺乳類=全哺乳類の雄が、一斉に全身から血を流して死んでしまうというところから始まる。が、何故か主人公と彼が飼っている猿のみが生き残った。
社会はカオスとなるが、主人公はオーストラリアにいる恋人に会う為、合衆国政府から謎の死の解明と唯一の男性である主人公の保護の命を受けた黒人の女性シークレットエージェント、355と共に旅に出る。
その旅の間に様々な人々と出会い、次々と事件も起きて…という内容なのだけれど、もしご興味があれば、それはこのマンガを読んでいただくとして。
ところで、この主人公はニューヨーク在住の20代の白人青年で、父親は女子大でシェイクスピアを教えている大学教授、母親は民主党の下院議員という設定である。
で、名前をヨーリック(Yoric)という。
この名前を聞いて、「ははあ、なるほど」と思うのは、多分英米文学専攻の人だけだろう。えーとこれは、シェイクスピアの『ハムレット』の登場人物…でもないな。この中に名前が出てきた人である。
第5幕の第1場で、ハムレットが王の陰謀で乗せられたイギリス行きの船から、秘かに逃れて帰ってきたとき、ちょうど墓掘り人足がオフィーリアの墓穴を掘っているところに出くわす。
墓掘り人足は、墓穴を掘りながら、それ以前に埋まっていた骨をぽいぽい放り捨てているのだが、ハムレットがその一つを取り上げて、この頭蓋骨は誰のものだと問うと、墓掘り人足は答える。
「旦那、このしゃれこうべがね、それ、ヨーリックのやつですよ、王様の道化だった」
と、これがオリジナルの(?)ヨーリックなのだけれど、うーん、いくらなんでもそんな名前、子供につけるか?
こんな名前つけられたら、絶対にいじめに遭うよな〜。ヨーリックの子供の時のあだ名は、絶対「Skull」だったに違いない。
「やーい、Skull、Skull〜!」って、これ、絶対グレるぞ![]()
…などと、勝手に妄想を広げて、マンガの登場人物に対する義憤(?)に駆られてたのだけれど、考えてみれば、今どきの日本の親も、結構ヘンな名前を子供につけてたりしますよね。
近頃は物騒だから、子供が事件に巻き込まれることも多く、新聞でそういう記事を見たらとても痛ましく思い…と、その子供の名前を見ると、申し訳ないけれど、ひっくり返りそうになることが![]()
事件そのものは大変気の毒ではあるけれど、一方でこういうのを見ると、「この親は、本当に子供のことを考えて名前をつけたのだろうか。単なる親のエゴなんじゃないのか?」と思わずにいられない。
昔のヤンキーが好んだような無理やりな漢字の羅列の名前やら、アニメかゲームの登場人物を彷彿とさせる名前やら、「どこのお公家さんの坊ちゃんや」と思ったら、ごくふつーの家の、しかも女の子の名前だったりというのもあった。
子供の名前を色々紹介するサイトというのがあったので覗いてみた。
このサイト(http://babyname.ojaru.jp/)には、かなり変わった名前が紹介されているのだけれど、トップページの説明によると、
「人気ランキングに入っているような名前は、あえて載せないようにしています。
個性的でかわいい名前を紹介できるよう心がけています。」
「素敵な響きと素敵な漢字を組み合わせて、素敵な名前を付けてくださいね」
ほほう、と女の子の名前を見てみると。
「杏美(あんび)」「依巳(いみ)」「卯華奈(うかな)」「恵亜(えあ)」「桜梨(おうり)」「玖枝(くえ)」「純美(じゅんみ)」「星璃守(せりす)」「千萌(ちも)」「汀那(ていな)」「兎柚(とゆ)」「奈以亜(ないあ)」「寧里亜(ねりあ)」「優亜沙(ゆあさ)」
あのう、これ、個性的ではあるけれど、かわいいかなあ。
「くえ」って、どう聞いても魚の「クエ」を思い出しちゃうし、「ちも」「とゆ」って…。
また、以前からあった名前に、一般的でない漢字を充てていたりもする。
「安栖嘉(あすか)」「千愛希(ちあき)」「天留美(てるみ)」「冬萌子(ともこ)」
なんかこれって、源氏名みたいで、ちょっと水々しい感じじゃないですかね?
その他、どう考えてもふざけてるとしか思えない、こんなんまで。
「小林檎(こりんご)」「奈愛翠(なあす)」「寧音(ねおん)」「羽亜桃(はあと)」
以前、古本屋で「子供の名前事典」といった本があって、中を見てみたら、巻末に漢字別・読み方別でインデックスがあり、その中には「おりびあ」とか「じゅりあ」とかいう名前まであったな。確か「おりびあ」には「織美愛」「折美亜」など、「じゅりあ」には「純愛」「樹莉亜」などの漢字が充てられていたと記憶する。
まあここまでのは…実際に子供につける人はあまりいないだろうけど。
2008年現在で人気の名前の上位はというと、上記サイトのものよりはもっとずっとまともだけれど、それでもやはり結構妙ちくりんな(と私からすると思える)名前が上がっている。
女の子だと、「葵(あおい)」「結衣(ゆい)」くらいならまあ分かるものの、「陽菜(ひな)」「美優・心優(みゆ)」「美羽(みう)」「結愛(ゆあ)」なんて名前を子供につける親って、悪いけどなんか頭が悪そう…。
男の子だと、「翔太(しょうた)」「翔(しょう)」「優太(ゆうた)」などの比較的ベーシックな名前のほか、「大翔(ひろと)」「蒼空(そら)」「遥斗・陽斗(はると)」「蓮(れん)」「悠斗(ゆうと)」って、何だかなあ…。
「結愛(ゆあ)」とか「美羽(みう)」なんて、ババアになったらどうすんだよと思ってしまう。
が、時代と共に人々の感覚も変わっていくから、もしかしたら心配ないのかもしれませんね。
大正初期の上位にランキングしていた「ハル」「フミ」「キヨ」なんて、今の感覚では何となく「お祖母ちゃんの名前」という感じがするから、或いはもしかしたら、70年後の若い親たちは、「結愛とか美羽って名前、お祖母ちゃん世代に多いよね。当時は流行ってたのね。いかにもお祖母ちゃんの名前ね」なんて言ってるのかもしれない。
| Y: The Last Man 1: Unmanned (Last Man) 著者:Brian K. Vaughan,Pia Guerra | |
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