環境

文明を捨てきれない方々へ…

昨日の福岡正信氏の話に絡めて、もう少し。

福岡氏の著書を読んで、氏の云わんとしていることをある程度理解した方には、だいたい2つの反応があると思う。
すなわち、

1.そうだ、これこそが生きるべき道、今すぐ時計を捨て、自然農園を作り、無為自然で生きていくぞ。
或いは、妻も子供もいるから今すぐは無理だが、土地を買って着実に準備を始めて、子供が手を離れたら文明社会を後にするぞ!…という即賛同、出家(?)実行派。

2.確かにこれが究極、唯一の正しい道であることは理解できる。
でも私、まだこの文明社会にはたっぷり未練があって、電気とガスのない生活って無理なような気が。海外旅行も行きたいし、おしゃれもしたいし、レストランにも行きたいし~…という、何とか文明と共存できないかと考える、往生際が悪い派。

えーと、何を隠そう、私も後者2番のクチです。(^_^;)
先のことは分からないけれど、少なくとも今は時計を捨て、文明を捨てるなんてことは無理そうである。文明に甘やかされて、情けないことではあるが。

とはいえ、多分実際は、私のような人間の方が多数派なんだろうと思う。
そして、ここがまた、福岡氏の農法及び思想が国内で広がりにくい要因でもあるのだろう。
氏の徹底ぶりは、ここまで徹底しているからこそ本物ではあるものの、なかなか実行に移せる人がいない、という。
勿論、農業を営む方の中に、氏の提唱する自然農法を取り入れている方もいるだろうが、生活全てを福岡哲学に沿ってとなると、かなり少いのではないかと…。

しかしながら温暖化の加速は、もはや洞爺湖サミットで掲げられた目標、2050年までに50%削減(でしたっけ?)なんてことでは追いつかないくらいに進んでいるという話であるし、やはり何かかなり抜本的な対策を打たないと、人類文明自体が結構危うそうである。

で、文明を捨てきれない、ひ弱で情けない私のような方々に、もう一つ希望の書。(笑)

それは、レスター・ブラウン著『プランB 3.0』。
著者は、農学と行政学の専門家で、農務省で国際農業開発局長を務めた後、環境問題研究のシンクタンク、Worldwatch Instituteを創設。
この本は、「人類文明を崩壊・滅亡から守り、存続へ導く」という目標の元に掲げられた経済モデルの提案書である。
ご興味があれば、是非一度♪down

|

「プランB 3.0」

プランB3.0 人類文明を救うために

買ったきっかけ:
著者がテレビに出ているのを見て。

感想:
農業も含めた、産業の石油資源依存一辺倒の危険性、一見表に出てこないが莫大な額になる環境関連コスト、食糧難と貧困により破綻しつつある国家などの問題への詳細な分析と、再生可能エネルギーへのシフトやフードセキュリティを含む「環境的に持続可能な経済システム」エコ・エコノミーの提案が本書の主軸である。
現在の状況がかなり深刻なものであるにも拘らず、国際社会では皆既得権に囚われ話が前に進まないことには暗澹たる気持ちになったが、同時にこれだけの研究をしている機関もあるのだから、総力を上げて結集すれば何とかなるのかもしれないという、その指針が垣間見えたような気がした。

おすすめポイント:
「エコ・エコノミーがもたらす生活の質は爽快だ。きれいな空気が吸えるようになるだろう。…人口が安定し、森林が広がり、二酸化炭素排出量が減る世界は、私たちの手の届くところにある。」
と著者は述べる。
そういう世界を構築したいと望んでいる方は、是非とも一読を。

プランB3.0 人類文明を救うために

著者:レスター ブラウン,LESTER R.BROWN

プランB3.0 人類文明を救うために

|

楽園造成なるか?

今月16日、福岡正信氏が亡くなった。
著書も多くあり、メディアにもよく取り上げられていたので、知る人も多いと思う。

「不耕起、無肥料、無農薬、無除草」を柱とした自然農法を提唱、晩年は粘土団子を用いた砂漠緑化活動の方がクローズアップされていたが、ご本人は自分のことを飽くまで「一農民」という。

分別智を捨てよ、陰陽、善悪、生死、プラス・マイナスといった二元論を捨てよ。
時間と空間という概念を持ち始めたときから、人類は他の動物たちより優れた動物であると錯覚するという悲劇が始まったのだ。時計を捨て、天眼鏡で宇宙を見よ、と説く。

世界が自然豊かで平和ならば、年老いてからはのんびり伊予の庵でご隠居していたかったであろうに、消えゆく自然と人類の未来を憂いて、結局は晩年は世界中の砂漠緑化活動に奔走することとなり、ご本人にとって良かったのか悪かったのか。

氏の代表的著書である『わら一本の革命』に初めて出会ったのは、私がまだ大学生の頃だったと思う。
それから、かれこれ10年以上。
福岡氏には大変申し訳ないが、彼の云わんとしていることが理解できてないでもなかったにも関わらず、その間私は一度たりとも「種を蒔く人」であったことはない。

その理由というのは色々ないわけではないが、あれこれと並べたところで所詮は言い訳であるので、ここでは述べない。「あなたみたいな何もしない人ばかりだから、人類の混迷も環境問題もここまで進んで…」と言われたら、「ハイ、すみません」というしかない。
が、人間には「時節」というものがある。いくらどう言われても、できないときはできないし、他にするべきことがあるという時期もある。

とはいえ、遅まきまがら、私もついに種蒔きデビューをすることに。
って、別にそんな大したことでもないんですけどね。(^_^;)

父親が定年後、とある田舎の村に土地を買って移り住んだので、わりに広い敷地があり、裏の山にも入ってっていいという。まずは、セオリー通りに粘土団子を作って蒔いてみるという、最初のステップを踏もうと、まあまだそれだけです。
福岡氏自身も述べているが、「自然に任せる」のと「単なる放任」とは違い、氏自身も若い頃これで一度失敗している。ここが素人には特に一番難しいところで、どうなることやら不安の方が大きいのですが。

私自身は生まれも育ちも都会で、農作業どころかガーデニングの趣味すらなく、虫が怖いので自分の家の庭の手入れもまともにしたことがない、雑草抜きひとつも戦々恐々という人間であるので、もし蒔いた粘土団子が上手く実り、楽園造成がなったにしても、肝心の私がその楽園に足を踏み入れられるのかしら、とかなり不安でございます…。(-_-;)

福岡氏が最初に『わら一本の革命』を出版した当時とは違い、自然破壊はもはや予断を許さないところまで進んでおり、一体巻き返しが間に合うのかどうかも分からないけれど、まあどんな運動も結局は一人ひとりの活動ありきで、まずは自分の足元を固めて、自分の頭の上の蝿を払わないことにはどうしようもないし。

うまくいったら人にも勧めて、或いは種を蒔いていい土地を提供してくれる人を、追々探していってみようかな。
間に合わなかったら、それこそもう神の思し召しですかねー…。

|

「わら一本の革命」

自然農法 わら一本の革命

買ったきっかけ:
恩師に勧められて。

感想:
「不耕起、無除草、無肥料、無農薬」で、米や野菜、果物を栽培する自然農法を行う。
無化学肥料、無農薬といった有機農法というものがあることは知ってはいたが、耕さない、除草もしないという農法、それで何故作物が実るのかという理論には驚き。
自然自体の力を邪魔せず、自然に任せる為の種蒔きツールが、福岡氏の提唱する100種類以上の種を混ぜて作る「粘土団子」である。
この粘土団子は、世界各地での砂漠緑化対策にも採用されている。

人間が究極にはどう生きるべきかを問うた福岡哲学の入門書であり、決定版。
本当に地に足をつけて、「無為自然」を実践した著者の哲学及び足跡を、是非とも多くの方に知っていただきたいと思う。

おすすめポイント:
環境破壊はかなり後戻りができないレベルまで来ているということは、誰もが薄々感じていることと思います。
このような時だからこそ、未来への一条の光となる可能性がこの本にはあります。

自然農法 わら一本の革命

著者:福岡 正信

自然農法 わら一本の革命

|